設立趣旨shuroshien-charter

設立趣旨shuroshien-charter

社会や経済が健全に発展していくためには、法秩序が守られ、治安が確保されることが大切であると言えます。 そのためには、犯罪や非行が発生しないよう対策を講じる必要があり、例えば、家庭の教育機能や地域の連帯感を高めるなどの犯罪予防活動を行うとともに、犯罪に陥った者や非行のある少年(以下「犯罪者等」という。)の再犯を未然に防ぐことが重要であります。

平成19年版犯罪白書では、再犯者は全犯罪者の約30%にすぎないものの、犯罪発生件数の約60%の犯罪を起こしており、社会に多大な脅威と被害を与えていると論じています。犯罪者等が再犯をすることなく、善良な社会の一員として更生するためには、彼らが仮釈放あるいは満期釈放等により社会に戻った後、就職の機会を得て経済的に自立することが極めて重要であり、その就労を支援していくことが大切な課題であると言えます。 しかし、現実には、犯罪者等の就職には支障も多く、犯罪者等の前歴を承知で雇用し、その立ち直りを援助しようとする雇用協力事業者は、滋賀県下においても約80の事業者があるにすぎず、その数は限られており、犯罪者等の就職は困難な状況にあります。

また、やむを得ず、前歴を秘したまま就職して、その負い目から転職を繰り返し、不安定な生活に陥る者も少なくありません。 他方、善意の篤志家である雇用協力事業者としても、地域や関係企業等の理解と協力を欠いた中で、ひとり彼らの雇用を継続することには多くの苦労と困難が伴います。

翻って考えますと、治安の確保による恩恵は、社会全体にもたらされるものであり、犯罪者等の就労の確保についても、本来、ごく一部の善意の篤志家である雇用協力事業者の手によってではなく、経済界全体の協力と支援によって支えられるべきものと思われます。 そうであるとすれば、事業者団体は、犯罪者等の就労支援が重要であるとの考えを傘下の事業者に浸透させることに協力するとともに、やむを得ぬ事情により自らは犯罪者等の雇用に支障のある企業は、資金面で協力することとし、その資金を利用して実際に犯罪者等の雇用に協力する事業者の数を増やすとともに、それら事業者の活動を支援する仕組みが必要であると言えます。

そこで、これを実現させるための組織として、滋賀県において、経済界の多大な御協力と御支援の下、特定非営利活動法人滋賀県就労支援事業者機構を設立しようとするものであります。後の世代に、安全で安心して暮らしてゆける日本の社会を残していくことは、現在我が国で活動している我々世代の責任であり、また、治安が社会の発展の基盤であることから、企業としてそのために応分の協力をすることは、企業が果たすべき社会的責任の基本でもあります。 そして、この度設立しようとする組織を特定非営利活動促進法に基づく法人とすることによって、法に定められた法人運営や情報公開など組織の基盤を整備して社会的信用を高めるとともに、充実した組織運営を明確な責任のもとに行いうるようにして、特定非営利活動法人全国就労支援事業者機構をはじめとする更生保護関係団体と連携・協力し、地域の各界各層の賛同を得て、事業を遂行しようとするものであります。

pagetop